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イタリアにおけるアスベスト対策と資格者制度について
イタリアでは、1992年の法律257号によってアスベストの使用が禁止され、その後もアスベスト対策に関する法整備が進められています。以下に、イタリアにおけるアスベスト対策と資格者制度の概要を、より詳細に解説します。
アスベスト対策
- 国家環境管理者登録制度: アスベストの処分や除去を行うには、国家環境管理者登録制度への登録が必要です(1992年法律257号)。この制度は、環境保護と公衆衛生の観点から、アスベスト処理業者の能力を評価し、適切な管理体制を確保することを目的としています。
- カテゴリー10A: このカテゴリーは、アスベスト含有建材の除去に関する業務を対象としています。具体的には、建材中のアスベスト含有量の調査、除去作業、除去後の処理などが含まれます。
- カテゴリー10B: このカテゴリーは、アスベスト廃棄物の処理に関する業務を対象としています。具体的には、除去されたアスベスト含有建材の収集、運搬、最終処分などが含まれます。
- 地域ごとの講習資格: 各自治区・地方自治体ごとに、アスベスト除去作業に従事する作業者(最低時間)および管理者(最低50時間)向けの講習資格が設けられています(1998年8月8日大統領令)。これらの講習は、アスベストの危険性や安全な作業方法に関する知識を習得することを目的としています。
資格者制度
イタリアにおけるアスベスト関連の資格制度は、中央政府と地方自治体の両方によって管理されています。
- 国家環境管理者登録制度: この制度は、アスベストの除去や処分を行う事業者を対象としています。登録には、一定の要件を満たす必要があります。具体的には、技術者の資格、使用する設備の基準、安全管理体制などが審査されます。
- 地域ごとの講習資格: 各自治区・地方自治体は、アスベスト除去作業に従事する作業者および管理者向けの講習を実施し、資格を認定しています。講習内容や時間数は、地域によって異なる場合があります。一般的に、作業者向けの講習は実技訓練が中心であり、管理者向けの講習は法規制や安全管理に関する講義が中心です。
日本との比較
区分 | イタリア | 日本 |
---|---|---|
法規制 | 1992年法律257号など | 労働安全衛生法など |
登録制度 | 国家環境管理者登録制度 | – |
資格制度 | 地域ごとの講習資格 | 石綿作業従事者、石綿作業主任者 |
イタリアの資格制度は、日本と同様に、アスベスト除去作業者の専門知識や技能を確保することを目的としています。ただし、イタリアでは中央政府と地方自治体が連携して資格制度を運営している点が、日本とは異なります。
アスベスト問題に関する研究や啓発活動
イタリアでは、アスベスト問題に関する研究や啓発活動が積極的に行われています。
- 研究活動: 国立衛生研究所(Istituto Superiore di Sanità)などの研究機関が、アスベストによる健康被害や環境汚染に関する研究を行っています。
- 啓発活動: 政府やNGOが、アスベストの危険性や予防方法に関する情報を発信しています。具体的には、パンフレットやウェブサイトの作成、講演会やイベントの開催などが行われています。
まとめ
イタリアにおけるアスベスト対策は、厳格な法規制と資格制度によって支えられています。特に、国家環境管理者登録制度や地域ごとの講習資格は、アスベスト除去作業の安全性を確保する上で重要な役割を果たしています。また、アスベスト問題に関する研究や啓発活動も積極的に行われており、国民の健康と安全を守るための取り組みが進められています。
この情報が、イタリアにおけるアスベスト対策と資格者制度について、より深く理解する一助となれば幸いです。