
ARAニュース!
ARABlog
- 一般
アメリカと日本におけるアスベスト対策工事の資格制度比較
アメリカと日本は、共にアスベストによる健康被害を防止するため、厳格な法規制と資格制度を設けています。しかし、両国間にはいくつかの重要な違いがあります。以下に、両国の資格制度を比較し、 アメリカの方がより厳格である理由について、資格更新制度も含めて考察します。
資格制度の比較
区分 | アメリカ | 日本 |
---|---|---|
調査者 | AHERA認定インスペクター | 建築物石綿含有建材調査者 |
管理計画者 | AHERA認定マネジメントプランナー | – |
設計者 | AHERA認定プロジェクトデザイナー | – |
作業員 | AHERA認定ワーカー | 石綿作業従事者 |
管理・監督者 | AHERA認定コントラクター/スーパーバイザー | 石綿作業主任者 |
アメリカの方が厳格な理由
- 法規制の体系: アメリカでは、AHERA法やTSCA法など、アスベストに関する包括的な法規制が整備されています。一方、日本では労働安全衛生法などが主な規制法であり、アメリカに比べて法体系がやや複雑です。
- 資格の種類: アメリカでは、アスベスト調査、管理計画、設計、作業、監督など、業務内容に応じて細かく資格が分かれています。日本では、調査者(建築物・工作物)及び石綿作業従事者と石綿作業主任者の2種類が主な資格であり、アメリカに比べて資格の種類が少ないです。
- 資格要件: アメリカの資格要件は、専門知識や実務経験に加えて、試験合格や講習受講などが義務付けられています。日本の資格要件は、実務経験が中心であり、アメリカに比べて客観的な評価基準が少ないです。
- 監督体制: アメリカでは、EPAや州・地方自治体がアスベスト対策工事を厳しく監督しています。 日本では、労働基準監督署が監督を行いますが、人員不足や専門性の問題から、十分な監督体制が整っているとは言えません。
- 資格更新制度: アメリカでは、資格の有効期限が定められており、更新のためには、講習受講や 試験合格が必要です。これにより、常に最新の知識や技術を維持することが求められます。 一方、 日本では資格更新制度がなく、一度取得した資格は基本的に生涯有効です。
アメリカの厳格な理由
アメリカが日本よりもアスベスト対策に厳格な背景には、以下の要因が考えられます。
- 訴訟社会: アメリカは訴訟社会であり、アスベストによる健康被害が発生した場合、企業が多額の賠償金を支払うリスクがあります。そのため、企業はアスベスト対策に積極的に取り組む必要があります。
- 労働組合の圧力: アメリカの労働組合は、労働者の健康と安全を守るために、アスベスト対策の強化を求めています。
- 市民団体の活動: アメリカの市民団体は、アスベストの危険性を啓発し、政府や企業に対して対策強化を求めています。
まとめ
アメリカと日本は、共にアスベスト対策に取り組んでいますが、資格制度や法規制の面で違いがあります。アメリカの方がより厳格なのは、訴訟社会、労働組合の圧力、市民団体の活動などに加え、資格更新制度の有無も影響していると考えられます。
ただし、日本でもアスベスト対策は年々強化されており、法規制や資格制度が見直されています。今後、日本でもより厳格なアスベスト対策が進むことが予想されます。