
ARAニュース!
ARABlog
- 一般
- 分析
アスベスト分析の難しさ
アスベスト調査分析株式会社【ARA】の分析課です。
今回はアスベスト分析の難しさについてお伝えしたいと思います。
◆アスベスト分析には知識や経験が必要
分析は基本的に定性分析で行っており、顕微鏡を使用しながら人の目で見て判断します。
アスベストはクリソタイルなど全部で6種類存在し、それぞれに光学的特性があります。光学的特性には多色性、複屈折、消光角、伸長の符号、分散色があり、これらもとにアスベストを検出、特定していきます。
しかし、セルロース等の類似繊維と見間違いや低濃度による検出の見逃しの危険もあるため、分析には細心の注意が必要です。対策として、繊維を見やすくするために事前に細かく潰す、アスベスト以外の繊維を燃やして灰化するなどの事前処理を丁寧に行うことが大切です。
人の目で判断している以上、分析者の知識や経験に大きく左右されます。そのためARAではすべての建材をダブルチェックしてミスの削減に努めています。また社内で定期的に分析や調査に関する勉強会を開いており、若手社員にとっては知識を吸収できる良い機会となっています。
◆建材による難しさ
定性分析では1層ずつ分析していきますが、建材によっては薄い層が何重にもなっているものや削りにくいものもあり、その分分析にも時間がかかります。
層別分析をするとき、隣接する他の層の物質が混入しないように慎重に削り取らなければなりません。どの層にアスベストが含有しているかを明確にする必要があるからです。含有層がわかればそれに合わせた最適な工事方法を選択することができるので、1層ずつ調べる層別分析は重要な作業となります。
アスベストが含有している建材が適切に処理されない場合、周辺の環境や人々の健康に深刻な影響を与えてしまう可能性があります。このようなリスクを回避するために、アスベスト分析は社会的な責任を果たしており、分析を通じて人々の安全に貢献していることが実感できます。


このようにアスベスト分析には専門的な知識や技術、慎重さが求められます。細かいところに目が行く人や集中力を保てる人に向いている仕事と言えるでしょう。
それは非常に大変な作業であると同時に、分析者の技量が重要とされるやりがいのある作業でもあります。